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日本法規

化審法の「通し番号」と「官報公示整理番号」って何が違うの?

2025.09.12

化学物質を扱う仕事をしていると、必ず出てくるキーワードが 化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)。 
新しい化学物質を届け出たり、既存化学物質の規制状況を調べたりする際、よく目にするのが 通し番号 と 官報公示整理番号 です。 

この2つの違いと、SDS(安全データシート)での扱いを解説します。 

 

■通し番号 
これは、行政が化学物質を審査する際に内部で案件を管理するために付ける番号です。 

・新規化学物質の届出や審査のたびに振られる 

・行政内部や限られた関係者が管理に使用 

・公開されない場合もある 

例えるなら、社内の案件管理番号のようなもの。 
私たちが普段、外部から検索して使うことはほとんどありません。 

 

官報公示整理番号 

その名のとおり、官報に化学物質の規制や審査結果を掲載するときに付ける番号です。 

・官報に掲載され、誰でも閲覧できる 

・文献や業界の化学物質リストでよく使われる 

・化学物質の特定や取引、輸出入など実務で便利 

こちらは、公式発表の番号というイメージ。 
取引先や輸出入の手続きで求められることも多いです。 

 

■SDSには書かないとダメ? 

では、SDSにはこれらの番号を必ず書かなければいけないのでしょうか? 
答えは NO です。 

日本でSDSの記載義務を定めるのは、 

・労働安全衛生法 

・化管法(PRTR法) 

GHS(国連勧告) 
などですが、これらが求めているのは以下の情報です。 

・物質名・混合物名 

CAS番号 

・有害性・環境影響 

・取扱い上の注意 

・法規制(化審法区分、PRTR対象かどうか など) 

👉 ここに「通し番号」や「官報公示整理番号」は出てきません。 
つまり、法的には記載義務はないのです。 

 

■でも実務では「官報番号」記載がよくある理由 

法律上は不要でも、現場では次の理由で官報公示整理番号をSDSに書く場合があります。 

・取引先や顧客が番号による識別を求める 

・官報番号を記載しておくと規制確認がスムーズ 

・輸出入や行政への届出で一意に特定する必要がある 

一方、通し番号は内部管理用で、非公開のことも多く、SDSに書いても意味がありません。 

 

■まとめ:番号の違いとSDS対応

 

 

通し番号 

官報公示整理番号 

役割 

行政の審査・案件管理 

官報での公式発表 

公開性 

非公開あり 

公開 

SDS記載義務 

必要なし 

必要なし 

実務での対応 

記載しない 

取引先対応や輸出入では 

任意記載が多い 

記載例:化審法:既存化学物質(2-1234)※ 2-1234が官報公示整理番号 

 

 

■参考文献 

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/qa/question.html#kashinhou 

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/qa/3.html#q67 

 

 

 

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