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がん原性物質:「労働安全衛生規則第577条の2第3項」に基づく指定物質とSDS作成のポイント

2025.07.22

がん原性物質:「労働安全衛生規則第577条の2第3項」に基づく指定物質とSDS作成のポイント

労働安全衛生法(安衛法)では、「がん原性物質」を扱う際のSDS作成と記録保存に関して厳格なルールが定められています。
特に、労働安全衛生規則第577条の2第3項に基づき、厚生労働大臣が指定する「がん原性がある物」を取り扱う事業者は、該当する化学物質を取り扱う労働者の作業記録を30年間保存する義務があります。
本記事では、がん原性物質の指定基準、SDS作成時のポイント、そして今後の対応方針について詳しく解説します。


概要(SDS作成と記録保存の関係)

労働安全衛生規則 第577条の2第3項により、厚生労働大臣が指定する「がん原性がある物」を取り扱う事業者には、労働者の作業記録を30年間保存する義務があります。
この記録保存義務は、SDS(安全データシート)の作成・更新と密接に関連しています。
SDSには、発がん性区分、健康障害リスク、適切な防護措置などを正確に記載することで、法令遵守と労働者の健康保護を両立することが求められます。

がん原性物質の指定基準(SDS作成時の確認事項)

  • 労働安全衛生法に基づき、リスクアセスメントの実施が義務付けられている化学物質であること
  • 国の有害性分類結果で「発がん性区分1(1Aまたは1B)」に分類されること
  • エタノールおよび特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の3に規定される物質)は除外

SDS作成時には、これらの基準を確認し、該当する場合は「発がん性区分」および「法令該当情報」を明確に記載することが重要です。

対象物質(SDS記載例)

以下は、厚生労働省告示により指定されたがん原性物質の一部です。
SDS作成時には、これらの物質に関して発がん性情報・法規制区分・取扱上の注意点を正確に反映させる必要があります。

CAS番号 物質名(別名) 発がん性区分
100-17-4 パラ-メトキシニトロベンゼン(パラ-ニトロアニソール) 区分1B
101-61-1 4,4'-メチレンビス(N,N-ジメチルアニリン) 区分1B
106-91-2 メタクリル酸2,3-エポキシプロピル 区分1B
120-12-7 アントラセン 区分1B
132-32-1 3-アミノ-N-エチルカルバゾール 区分1B
148-82-3 メルファラン 区分1A

※上記は一部抜粋です。完全な指定物質一覧は、厚生労働省の公式資料をご確認ください。

今後の予定(SDS作成への影響)

令和9年(2027年)4月1日から、新たながん原性物質が追加指定される予定です。
この改正に伴い、対象物質を取り扱う事業者は、SDSの内容更新・再作成を行う必要があります。
最新の告示内容や追加指定物質の情報は、厚生労働省ウェブサイトで随時更新されるため、SDS作成担当者は定期的な確認と更新管理が求められます。

まとめ(SDS作成による法令対応と安全管理)

がん原性物質を取り扱う場合、SDSの作成・更新・交付は法令遵守の中核を担います。
SDSには、発がん性区分・リスク評価結果・取扱上の注意点・法令該当情報を明確に記載することで、
労働者の安全を守り、企業のコンプライアンスを強化することができます。

正確なSDS作成と情報共有が、化学物質リスク管理の基本です。


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