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がん原性指針対象物質:「労働安全衛生法第28条第3項」に基づく化学物質による健康障害防止指針とSDS作成について<

2025.07.22

がん原性指針対象物質:「労働安全衛生法第28条第3項」に基づく化学物質による健康障害防止指針とSDS作成について

労働安全衛生法(安衛法)に基づく「がん原性指針」は、がん原性(発がん性)を有する化学物質による労働者の健康障害を防止するために、厚生労働大臣が定めた重要な制度です。本記事では、指針の概要とSDS(安全データシート)作成における実務的なポイントをわかりやすく解説します。

がん原性指針とは(SDS作成との関係)

「がん原性指針」は、安衛法第28条第3項に基づき、がん原性化学物質による労働者の健康障害を防止する目的で策定されています。この指針は、事業者に対して以下の対応を求めています。

  • SDS(安全データシート)の作成および交付
  • 化学物質の容器・包装への表示
  • 作業環境の改善および教育の実施

とくにSDS作成は、法令遵守とリスク管理の基礎であり、がん原性分類・ばく露リスク・健康影響などを正確に記載することが求められます。

対象物質(SDS作成時の確認対象)

厚生労働大臣が指定する化学物質および、その含有量が1%以上の製品が対象です。代表的ながん原性指針対象物質は以下の通りです。

物質名 備考・用途
アクリル酸メチル 樹脂原料・塗料用途、有機溶剤中毒予防規則対象物質
アクロレイン 防腐剤・中間体、強い刺激性を有する
N,N-ジメチルアセトアミド 溶剤用途、皮膚吸収毒性が高い
スチレン 合成樹脂原料、PRTR法対象物質
トリクロロエチレン 金属洗浄剤などに使用、がん原性指針対象

SDS作成時は、有機則やPRTR法との法的整合性を確認し、法令区分・分類を明示することが重要です。

指針に基づく主要な措置内容(SDSの作成・活用を含む)

(1)ばく露低減措置

  • 工程の密閉化・局所排気装置の設置
  • 適切な保護具の使用・作業時間の短縮
  • 作業基準書(操作手順書)の策定と教育

これらはSDSの「取扱い及び保管上の注意」や「ばく露防止及び保護措置」欄に反映する必要があります。

(2)作業環境測定

対象物質の空気中濃度を6か月以内ごとに1回測定し、その結果を評価・記録します。測定結果や改善措置は30年間保存が必要です。SDSの「物理的及び化学的性質」および「ばく露基準」との整合性を確認することが大切です。

(3)労働衛生教育

教育内容(4.5時間以上)には、SDS情報を用いて以下を指導します。

  • 対象物質の性状・有害性(SDS情報に基づく)
  • 健康障害のメカニズムと応急措置
  • 排気装置・保護具の使用と保守管理
  • 法令遵守とリスクアセスメントの理解

(4)労働者の記録保存

労働者の氏名、従事業務、ばく露期間、異常発生時の状況を記録し、30年間保存します。これらはSDSに基づくリスクアセスメント記録として連携させる必要があります。

(5)SDS作成・交付義務

がん原性指針対象物質を譲渡・提供する際は、SDSを交付し、容器や包装に名称・区分を明示する義務があります。
SDS更新時は、GHS分類・法令改正・新規データを反映し、関係部署で共有・再教育を行うことが求められます。

まとめ(SDS作成とがん原性指針の実践的連携)

がん原性指針対象物質を扱う事業者は、SDS作成・交付を通じて、化学物質の危険有害性を正確に伝えることが重要です。
SDSは法令対応の基礎であると同時に、ばく露防止・教育・表示・記録保存といった安全衛生活動の中心的役割を担います。
最新の情報を反映したSDS作成が、法令遵守と労働者保護の両立を実現します。


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